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NobleAudioの完全ワイヤレスイヤホンFALCONはフラッグシップを音を持って産まれた?

「NobleAudioがワイヤレスイヤホンを発売する。」 これだけでイヤホンファン、オーオタ諸氏はドキっとしたことでしょう。 超高性能イヤホンメーカーが自社ハイエンドモデルの帯域バランスを元にワイヤレスイヤホンを本気で作ったようです。 このFALCON。結論を言うと過去所有していたワイヤレスイヤホン、ワイヤレスレシーバーを超える最高の出来、どちらが良いという感想にならないほどに 「NobleAudioが作ったNobleAudioのサウンドシグネチャを持ったワイヤレスイヤホン」 でした。 正直、同社初めてのワイヤレス、しかも完全ワイヤレス(英語圏だとTruelyWirelessと言ったりするらしい)こんなにNobleAudioの音になるとは思っていませんでした。 一言で言えば同社のフラッグシップモデル、KHANに非常によく似たバランスに元気さ・明るさを足したような音です。

FiiO X7 MarkIIはAM3CというTHXの技術を得てより完成した


FiiO社が発売するポータブルオーディオプレイヤーのフラッグシップ、X7 Mark II。(以降X7ii)


この製品はフラッグシップでありながらも、ESS9028 Proをポータブルで搭載するといった野心的なオーディオプレイヤーでした。


そして今回、THX社の技術を得た新しいアンプモジュール AM3Cが発売されました。


つまり、AM3CによってX7iiはFiiO自身とTHXとの技術融合で完成に至ったと言えます。


というポエミーかつありがちな煽りからスタートしてみました。

2018年12月のポタフェス in 秋葉原で販売前の先行展示をしていたAM3Cですが、アナウンスどおり翌年1月に販売されましたね。

【2019-02-26 追記】
ちなみに、2019年5月中旬あたりに AM3D としてラインナップに追加されるそうです。
FiiO社と日本代理店側の尽力に感謝ですね。これはメインラインナップにいて良い商品だと思います。
FiiO日本代理店 アンプモジュール AM3D

AM3C - THXのロゴがある不思議

皆さんも「FiiOのアンプモジュールは出たらとりあえず買う。」と思うのですが、このAM3Cは海外のオーディオ界隈で話題になったTHX-AAA回路を使っているというハードウェアマニア心を刺激されたということもあります。

ポータブルに実装されると恐らく世界初?では?くらいの感じだったので。
あとは、やっぱり試聴して良かったということが一番でしょうね。騒がしい試聴会場でもAM3Bや普段使っているAM5と比べて好ましい違いを感じられたのが大きいです。

THX ACHROMATIC AUDIO AMPLIFIER


それにあわせて、日本限定販売、数量は少ない、展示会時点では追加生産の予定はない、というアナウンスもあったため戦々恐々としていました。

とりあえず無事に入手できたというのは幸いですね。


さて。今現時点で、所有しているアンプモジュールは
  • AM5
  • AM3B
  • AM3C
の3機種です。


結論を先に書くと、これら3機種は持っていても全く被らないので『問題は無い』でしょう。


そもそもモジュールが手元に3つあることを問題視しない時点でも問題とかそういう話はいいです。大丈夫です。

なお、公式の見解としても「使い分けが可能」です。
今回はAM3Cのレビュー、各モジュールの違い、の順で書いていこうと思います。

アンプモジュール AM3C

まずTHXってなに?

THX社 (ティー・エイチ・エックス)は、主に映画に関わる音響技術・評価サービスを提供する、アメリカ発祥の企業である。ルーカスフィルムの1部門としてスタートし、AV業界において最も知名度の高いブランドのひとつとなった。
THXは主に、映画館や家庭用AV再生機器のクオリティチェックを行う。また、DVDやビデオグラムなど、ソフトのマスタリングの品質チェックも行う。THX社が規定する品質をクリアした劇場やAV機器、DVDなどには、THXマークをクレジットすることが許される。 
出典:Wikipedia - https://ja.wikipedia.org/wiki/THX


今回のTHX AAAは回路と出力特性までを含めた規格で、その回路(や、それを実装したチップ)の利用だけでなく製品の測定結果が規格を満たしている場合にのみ認証を出しているようです。

AM3Cに至ってはFiiO JapanのTwitterで書かれていましたが端子別の電気的特性差でも仕様を満たせないという厳しさです。

AM3Cのスペック

公式見てもらうほうが早いのでそちらで。
アンプモジュール - FiiO Japan

THX AAA-78は2chステレオ用の回路なので、今回のバランス出力のために2回路実装しています。

THX AAA-78回路デュアル搭載、バランス接続対応ヘッドホンアンプ

というだけで結構詰め込んだ感満載ですね。



ちなみにTHX AAAをモバイル向けとしてICを供給しているのは話題になったTriad Semiconしか知らないのですがどこなんでしょうね。
Triad Semiconductor THX AAA Audio Amplifier


全体の感想

今回の使用機材は FiiO X7 MarkII にカスタムファームウェア Fidelizer AdvancedPuristROM を自分で改造した grim13b-SPL ROM 版を焼いてあるものです。

高低共に癖もなく全域でフラット。
FiiOらしくないといえばFiiOらしくない音。
歪みによるシャリ付いた暴れた感じもなく、小音量からそこそこ大音量まで辛くなく聴きやすい。

低歪み、低ノイズを測定結果として追求されているせいか、残響や距離感が非常によく出る。いわゆる音場が広い。

過去のモジュールと比べて最低域がよく出ている。
反面、まとまり過ぎてノリが悪い、パワー感がない、といったエモーショナルな部分は弱い。

バスドラムの空気が振動する感じだけではなく、面を叩いたときのスパイクした立ち上がりの音まで再現するのでリアリティが高い。

低ノイズ化の恩恵なのか充電ノイズも少なくなった気がする。wifiのノイズも同様に少なくなった気がする。
イヤホンやヘッドホンによっては全く聴こえなくなっているのではないだろうか。

低域

過去のモジュールと比べても、数値上でも聴感上でもローエンドまでよく出ている。
よく出ているので量が多いようにも感じるが、低中域をかき消すような出方はしないので慣れればあまり感じなくなる。

中域

FiiOの特徴であるウォームでパワフルな音は健在。
従来のモジュールと比べて音の分離感が非常に良い。
低域、高域ともに邪魔をせず、ウォームな音を展開出来ているほどに輪郭がはっきりとしている。

通常のアンバランス接続でも従来との差がわかるレベルで分離感が良いが、バランス接続の場合は輪をかけて特に良い。
分析的とも言えなくないが、無機質でつまらない音ということはない。

高域

歪みが少ないからか、ボリュームを上げていっても破綻せずうるさくない。
ジャリジャリした感じがないので、高域の刺激さは無く聴き疲れしない。
高域の減衰が細かく表現されるため、他の楽器との距離感がよく出る。
従来と最も差を感じやすい。なにより高域がよく伸び、よく落ち着いている。

音場

FiiOらしい近くで鳴って奥方向に伸びる感じがより奥方向に広がる。
AM3Bと比べても奥側への広さを感じる。
左右の分離感が非常に良いが、バラけすぎて別々に聞こえるような事もない。
3.5mmシングルエンドでも十分にこの傾向は感じられるが4.4mmバランスでの音場の作り方は秀逸。

低域の出方や制動感は圧倒的に4.4mmが良いのでやっぱり4.4mmバランスがオススメです。


他のアンプモジュールとの使い分け

AM5 - 3.5mm シングルエンド専用 ハイパワーモデル

X7iiオーナーなら「逸般誤家庭には必ず1台はある」と言われているハイパワーモジュールAM5です。

正確性や解像感というよりは力強く勢いのある音で、ウォームで有機的でFiiOらしい音です。
勢い一辺倒と思いきや、出力の大きさが生む空間の再現力も高く、汎用性があって使いやすいアンプモジュールです。

ヘヴィメタル、FiveFingerDeathPunchあたりを聴いているとこのパワー感はグッと来ます。
これの4.4mmバランス版を切に望みます。

パワーは力です。

AM3Cを買えなかった人は焦らずAM5を買いましょう。

AM3B - 3.5mm シングルエンド 4.4mm バランス 

先代AM3Aに比べると大きく低ノイズ化して明瞭さも向上しました。バランス接続時の違いは特に明確でした。

解像感も高く空間の広さもあり、低中域の太さがありエモーショナルな音です。
やはりFiiOらしい中域よりのウォームさですが、再設計された基板と実は先代よりもアンプモジュールに供給される電源電圧が高いことによる特性の改善もあり汎用性がアップしました。

正直AM3Cがあると無理して使い分けはしないかもしれませんが、中低域の太さや沈み過ぎない低域はむしろベースの存在をメロディアスに聴けます。


AM3C - 3.5mm シングルエンド 4.5mm バランス THX AAA モデル

従来の全モデルよりも最低域までよく伸び、低歪化の影響で高域の刺さる感じも薄れ、低ノイズになり音場が広がり、あらゆるジャンルのあらゆる楽曲でそのメリットを得られるようになりました。

忠実に的確に音を鳴らすため、従来のFiiOらしいと言われる音から少し離れ、解像感と分離感があり分析的な音です。

ジャンルを問わない超絶高い汎用性です。

ハイブリッドイヤホンのように低域をダイナミックドライバで盛っているようなイヤホンの場合、スピードメタルのような重低域が速いタイミングで連続する曲は低域疲れをする人もいるかもしれません。


結論

AM5まじ凄い


雑記

で、これは自分の職業的な経験からの想像ですが。

日本限定販売で数量が少ないっていうことは、部品調達や組み立ての都合を考えたら多分実際の製品数って200個無いんじゃないかなと。

初期不良分や、バックオーダーや流通量の調整分を考えると流通分で150個あるかないかじゃないですかね。

ちなみに、オーダー開始直後、
らしいので、買えたのは超ラッキーと言えそうです。

売れ行きは自体は「即日完売」なので良好でしょうから、あとは追加を望む声がどの程度あるのか、でしょうか。

THXのライセンスやアンプICのコストもかかるでしょう。何気に4.4mmのレセプタクルも高いし。
もちろん日本国内だけで捌けるような数ではオーダー出来ないと思うので、海外含めてどのくらい反響があるのかが再販にかかってきそうですね。

どうやらFiiO JapanのTwitterには海外からも問い合わせがあったようで「詳細はそちらのディストリビューター(代理店)にご相談ください」なんていうやり取りもありました。

試作品を拾い上げて、日本限定の少量でいいから!と推し進めてくれた日本代理店、その無茶な要望に賛同してくれたメーカーには感謝しかないですね。

国内向けクラウドファンディングとかアリなんじゃないかな、って思うんだけどどうかなぁ。

AM5Bあたり欲しくないですかね。


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