2018年06月下旬、FiioはM7というポータブル音楽プレイヤーを発売しました。
今まで日本国内での発売はXシリーズというモデルだけだったので新しいMシリーズというモデルが追加されたことになります。
実際に聴いてみた評価としては、パワフルで色っぽい実にFiioらしい音です。
さて、「Fiioらしい音」と表現したものの、この「らしい音」とはどんな音でしょう?
実際のところ、初代X3からFiioのDAPを使ってきていてぼんやりとではありますが「濃厚さと元気の良さ」みたいなものをFiioの音と感じていました。
今回、手元には以前に購入したSony Walkman A45があるので聴き比べてその違いを調べてみようと思います。
同じ価格帯で発売されているエントリーモデル対決、といったところでしょうか。
ちなみに、技術的な話はまったくありません。趣味丸出しの内容です。
ここで書いた内容
- 同じ楽曲の同じデジタルデータでも、プレイヤーごとに音は違う。
- 多分メーカーごとに好きな音がある。
- 中国のメーカーは比較的ウォームな音が好き?
- 日本のメーカーは比較的クールな音が好き?
- M7はアニソンなどボーカル曲、Jazzなどアコースティック曲で抑揚があって色っぽい
- M7はバンド系、ゲーム音楽など電子音楽で音数が多い場合に音が飽和気味になる
- A45はバンド系、ゲーム音楽など電子音楽で音数が多くても飽和せずエッジがくっきりする
- A45はアニソンなどボーカル曲、Jazzなどアコースティック曲でも淡々としすぎる
FiioとFiio M7
メーカーとしてのFiio
FiiOは中国広東省のオーディオメーカーです。もともとはヘッドホンアンプがメインのラインナップで、音楽プレイヤー市場の参入は2013年、初代X3がスタートでした。
当時、ハイレゾオーディオプレイヤーとしては驚きの2万円台という実売価格で、驚きすぎたあまりうっかり買っていたという思い出があります。
【音楽】うっかりオーディオプレイヤーFiio X3を買ってしまったよ(2014.12.01 新バージョンについて追記)
オーディオプレイヤーとしてのFiio
オーディオプレイヤーとしてのFiioは、中域重視でボーカルを近く色っぽく聴かせるのが得意な印象です。
シリーズやハードウェアによって違いはありますが、この傾向は初代X3から現行X7 MarkIIにも言える傾向で、メリハリがあって線が太く力強い、元気があって明るいというのが共通して言えるFiioの音です。
M7は国内ではMシリーズがこのM7しかないのでミドルクラスなのかハイエンドクラスなのか判定できないのですが、Fiioの価格帯としてみるとXシリーズで言うところのX3のような、そんな位置づけな価格帯です。
もちろん、音の傾向も踏襲されていて
です。
ちなみに今回のM7、ワイヤレス性能も高く、aptX HDだけでなく、Sonyの高音質Bluetooth CODECであるLDACにも対応していて、実はSony製イヤホン、ヘッドホンと相性が良かったりします。
SonyとWalkman A45
メーカーとしてのSony
今更感はありますね。日本が誇る高精度高精細イメージセンサーの会社です。
すいません。
日本が誇る大型の複合企業体で金融、不動産、保険、家電、ゲーム、音楽、映像、電子部品といった生活に関連する事業を運営している企業です。
なお、連結子会社数は日立グループを抜いて堂々の一位だそうです。(2017年)
ここでは音楽機器メーカーとしてのSonyを見ています。
デジタルアンプ、デジタル音源処理、Bluetooth向けCODECなどにも力を入れていて、日本の音楽プレイヤー業界を牽引していると言えるでしょう。
オーディオプレイヤーとしてのSony
オーディオプレイヤーとしてのSonyは、ちょっと歴史と種類が多すぎてなんとも書きにくいのですが、基本的な傾向として音の粒立ちがはっきりとした解像度重視でメリハリのある高域と低域が得意な印象です。
今回のA45はウォークマンシリーズのエントリーモデルとして発売されています。Sonyらしい低中高に大きな偏りはなく淡々とクールな音です。
音の傾向はやはりSonyらしさを踏襲していて
です。
Fiio M7とSony Walkman A40を聴いて比較
聴感、いわゆる聴いた感じをもとに書いています。
できるだけ偏らないように書いているつもりですが趣味趣向が入っていることもありますので、この内容が絶対的に正しいわけではありません。
なので、是非いろいろな機器を手にとって試してみてください。音楽が好きな人はきっと楽しんでもらえると思います。
|
Fiio M7 |
Walkman A45 |
価格 |
\29,000- |
\21,000- |
高域 |
刺激的な音はなく柔らかな音 |
刺激的で解像度の高い硬質な音 |
中域 |
ボーカルが眉間のあたりで聴こえる |
ボーカルが顔の20cmくらい前から聴こえる |
低域 |
エッジの線が太く力強いが明瞭ではない |
定位があり明瞭だが少しエッジの線が細い |
広さ |
ボーカルが近く、その他の音が後ろにあるように聴こえるため、相対的に奥行きがあるように感じる。相対的な広さがあってパワフルな音だが他の音に被ってしまう。比較的クリアで解像度メインな音を出すイヤホンとの組み合わせが良さそう。 |
フラットで音源が自分より一歩離れたの前方から音がなる。立体的ではないが空間は感じる。絶対的な広さ。解像度が高く繊細だが故に多少ザラザラ感はある。空気感の表現が得意なダイナミックドライバのイヤホンとの組み合わせが良さそう。 |
余談 音の広さ
この音の広さ、という部分も結構難しい表現の仕方のようで、広いと表現する感覚が相対感覚なのか、絶対感覚なのかでどうも感想が違うようです。
概ね次の2つを感じやすいのではないかと思うのですが、
- ある音を基準にして音に遠近がある立体感 → 相対的に広い、絶対的に狭い(近い)
- 自分から離れた位置で音が鳴る空気感 → 絶対的に広い、相対的に狭い(遠い)
私は前者を認識しやすいようです。多分人によって、聴く音楽によって違いがあると思うので、こんな判断基準もある、くらいに考えてください。
国くらいの単位で方向性が違う
開発地域、対象ユーザーによって狙う音の方向性が結構違ってくるのだな、という印象です。もちろんメーカーが目指す音の違いということもあると思います。
Fiioを始めとする中国メーカーは
一方、SonyやOnkyo、一部の韓国メーカーは
というまとまり方をしている傾向を感じます。
これは単純にどういう音が好まれるのか、という地域性みたいなものも関係してくるのではないかと思います。
優秀すぎて話題、超小型DAP「M0」はここで生まれた - 中国・深センのSHANLINGを訪問
この記事にあるようにどういう曲を使って開発したのか、どういう人たちが使うことを想定しているのか、という違いなのかなという気がします。
日本のオーディオプレイヤーは段々と数が減っていて、対象的に中国発のプレイヤーは年々多く販売されるようになってきました。
音の方向性、という今回の趣旨だけで考えると、クールな美音系は種類が減りつつあって、ウォームな艶音系は種類を増やしつつあると言えなくはないですが、もしオーディオプレイヤーを探している場合の参考になれば嬉しいです。
とはいえ。
PCがないと音源が転送出来ない、そもそも音源ファイルを持っているコンシューマ層が少なくなっているなどなど、取り巻く環境自体は厳しくなっていると思います。
それでも、音楽を良い音で聴くとい体験は音楽好きとして伝えていきたいですね。
コメント
コメントを投稿